渡り烏

手帳開示(オープン)で就職すると決意して硬いジーンズに足を入れる

支援校卒の子黙す密室で支援員から雑言あびて

口数が日に日に少なくなっていく統合失調症の通所者

自己紹介代わりに病名言い合えばお互い聞くんじゃなかったって顔

移行からB型移る療育を持ってるやさしい子が叫んでる

自閉症少女(推定)あいさつをしてもかえってこなくてかなしい

工賃の出ない事業所 生保って最初なにかはわかんなかった

虚数解 昼間に存在しない光薄いベールの内側にある

手帳非開示(クローズ)でいくと言ってた主婦がいて生活格差に何も言えない

発達もあるのでと言うまっすぐなまつげを伏せる先輩しずかに

羽化前に殺してしまった蝶 わたしどうして知らない場所で寝ている

涼しくて今は文月と思えない白いばかりの個室にぽつん

二年間猶予のようなリミットを使い果たした渡り烏は

一年がすぎて就労移行支援わたしも渡り烏だろうか

パニックの悲鳴平和だパソコンでコードをひたすら打ち続けてる

左頬 誰にも指摘されないが未だに視線を気にしてしまう