奇会的魔女観測

これはワタシが適当に屋上から観察した、
奇妙で奇怪な機械でできた
この機会を記したものである。
そう、歯車に呑まれても
仕事つづける人間のような。

奇会的(きかいてき)観測、開始

 世の中結構、物騒なのかとわたしは思う。
 事件はニュースだけに出てくる遠いもので、どうでも良いと言えばどうでも良かったのだ。
 が、目の前でふんわり笑われた上万引きされては物騒と思わなければいけない。
 大学生だろうか、彼女は清涼飲料水をひょいと掴むと、またね、と笑ってそのままコンビニを出て行ってしまったのだ。
 馴染みの後輩に挨拶するかのような気軽さに、わたしは呆然としてしまった。
 部活の帰りに寄った夕方のコンビニでも万引きは起こるらしい。
 まわりにもわたしと同じ高校の生徒、大人、中学生がいたが、誰ひとりとして彼女には気づかない。いつも通りのざわめきの中、普通に買い物をしている。
「小鳥遊(たかなし)、まだ買ってないのかよ」
「ごめん椎(しい)くん」
 わたしの家の近所に住む、椎靖人(やすと)は、男子高校生にしては小柄な方で、わたしと身長はあまり変わらない。
「大体おまえ夜の7時におばけなんて出るわけないだろ。なんで俺が待たなきゃいけないんだよ」
「怖いものは怖いんだってば」
 彼女が盗っていったものと同じものを棚から出し、わたしは会計を済ませる。
 なんだかんだ言って靖人は一緒に帰ってくれたが、結局わたしは彼女のことを言い出せなかった。